過去数年間、コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会は相互文化と差別の問題について取り組んできました。ジョージ・フロイドとジョイス・エチャカンの死(2020年)を受けて、2021年の総会は正式に、共同体の内外を問わずあらゆる形態の差別や人種差別との対抗を開始しました。世界中の姉妹とアソシエート、そしてモントリオールの母院の一般従業員が参加して、いくつかの会合と意見交換グループが開かれました。1

反抑圧的措置

はじめに

コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会アーカイブ(アーカイブ局)の現在の使命は、コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会の生きた記憶として、また1653年に創立者マルグリット・ブールジョワがヴィルマリーに到着して以来のコングレガシオンの貢献を社会に知らせるために、コングレガシオンの全ての歴史的文書を管理することです。このようにマルグリット・ブールジョワとコングレガシオン・ド・ノートルダム修道会の記憶を守ることによって、前任者たちの活動を引き続き行っていきます。しかし2023年以降アーカイブ局は他の修道会と同様に、アーカイブが過去に果たした可能性があり、現在も果たしている抑圧的な役割について振り返ってきました。私たちの保存し流布しているアーカイブや画像に見られる植民地主義的あるいは人種差別的なテーマや言及を眼前にした時、そのような役割にまつわる疑問は私たちの行う専門活動全てに関わってきます。 

反抑圧的アーカイブ実践のための手引き 

2024年初頭、アーカイブ局はアーカイブ活動へのアプローチを変容し、その慣行を変えることを約束しました。当初行ったことは、データベースを脱植民地化することでした。そして、これが一回活動して終了となるべきではないこと、また、植民地主義だけが私たちのアーカイブコレクションにおける抑圧の形態ではないことに気づきました。そこで私たちは、アーカイブで実際に行っていることと、アーカイブ内に見られる抑圧、そしてアーカイブの行っている抑圧について、より広範な振り返りを始める決定を行いました。 

この『反抑圧的なアーカイブ活動にむけたガイドライン』は、コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会の脱植民地化への過程を支援するために、2024年12月にアーカイブ局が採択しました。この「原則 」と「目標」 は、今後数年間にわたる私たちのさまざまなアーカイブ活動を導いてくれます。

原則

第一原則

私たちの社会で行われている組織的差別と、現代のアーカイブ活動内でのその存在を認めること。

アーカイブ局は、制度的差別(主な差別のリスト:植民地主義、人種差別、性差別、能力差別、資本主義、異性愛規範性など)に基づく社会の中で設立運営してきたことを認めます。このような制度的差別は、多くの個人と地域社会に危害と損害を集積することができ、それらを過去与え、今でも与え続けています。現代のアーカイブ活動は、過去の単一的でヨーロッパ中心的な物語を生み出すことに加担することでこうした制度的差別を永続させています。

第二原則

長期的な反抑圧的アプローチへの献身。

アーカイブ局は、差別と闘い抑圧の連鎖を断ち切ることに積極的に献身しています。アーキビストは実際に政治的な力を持ち、差別による被害や損害を認識し、是正するための重要な味方となることができます。このコミットメントには、時間、人材、物的・財政的資源の持続的かつ定期的な投資が必要となります。完全な透明性のもとで行うこの活動が終わることは決してなく、適切で意味を持ち続けるために定期的に再評価を行う必要があります。

第三原則

差別に苦しんできた、また今でも苦しんでいる人々やコミュニティと協力し、彼らの優先事項や必要を尊重することを約束します。

アーカイブ局は、アーカイブの取得、処理、配布活動を行うにあたり、今まで差別に苦しんできた、あるいは今でも苦しんでいる人々やコミュニティと協働して活動することを約束します。これらの活動においては、関係する人々やコミュニティの表明する優先事項や必要を尊重し、他の形の専門知識を活動内で同等に採用できなければなりません。

目標

第一目標

反抑圧的なアーカイブ活動を調査支援し、その発展に貢献し、アーカイブ局従業員の間で奨励します。

第ニ目標

差別に苦しんできた、または今でも苦しんでいる人々やコミュニティと、敬意を持ち相互的で適切で責任に基づいた関係を築きます。

第三目標

アーカイブに関係する人々やコミュニティのために、アーカイブへのアクセスが責任と敬意をもって行われるようにします。

反抑圧的取り組みの手引き

反抑圧的取り組みの手引き(PDF) をダウンロードする

遺産分野における反抑圧的・包摂的実践に関する文献目録  

Zotero で参考文献を参照する。目録は定期的に更新されています。

 


1差別や不平等に対抗するためのアプローチについては、コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会ウェブサイト(私たちについて - コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会、日本語)や、2024年フォーラムの発表(コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会を脱植民地化するための呼びかけ:世界を人間らしくすることへのさらなる参加のために。 - コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会、英語)を参照。

2 この原則と目標は、「真実と和解の委員会報告書への対応のためのタスクフォース(Task Force on the Response to the Truth and Reconciliation Commission Report)」が執筆し2022年にカナダ公文書館運営委員会(Steering Committee on Canada's Archives)が刊行した報告書「和解の枠組み(Reconciliation Framework)」に啓発を受けました: https://archives2026.com/wp-content/uploads/2022/02/reconciliationframeworkreport_en.pdf